佐藤青南「ある少女にまつわる殺人の告白」を読んで
どうやら読み終わって興奮したらすぐ感想を書きたがる癖がついてしまったみたいで。6月に読んだ本の感想でも書こうかな〜なんて言っていたのに無視します。
私にとって初めての作家さん、
佐藤青南著「ある殺人にまつわる少女の告白」
たったいま読了しました。
やっぱラストは一気に読み切っちゃいたいよね。
我慢できないよね。
本作は2011年「このミス」大賞優秀賞受賞作。
最近わかってきたんだけど、
◯◯大賞受賞作って名のつく本は大体面白いよね。
面白いから評価されてるんだけどね。
気付くの遅いよね。
ざっくり内容としては
長峰亜紀という少女にまつわる事件について、当時の状況の証言を集めていくようなお話。児童相談所の所長ら、関係者から話を聞いていく形式で取材者と同じ目線で物語を読み進めていくことが出来る児童虐待をテーマにした作品。
第三章に入ってからは早く物語を取り込みたくて目が離せなかった。
興奮してポロっとネタバレしてしまう可能性もあるので興味の有る方はご注意。
読んでいる間疑問に思ったことは二点。
誰が加害者で誰が被害者なのかが読み取れない点と、
取材者が誰であるか。
ラストに向けて明らかになるのだが、
このふたつがずっと興味を引っ張ってくれていた。
そして児童福祉問題の深刻さ。
専門的に学んでいる訳ではないので詳しいことは分からないけれど、登場する児相の所長が「外野が結果論でいろいろ言うのは簡単だ」という言葉、事実現状も報道されている内容程度の癖にすぐバッシングする世相にぴったりだと思った。この一言ではなくもっとちゃんと訴えている台詞なので是非読んでほしい部分。私も考えさせられた。
加筆する前の原題は「羽根と鎖」だという。
亜紀の母親が母親でなくなる過程を感じてしまい胸が苦しくなった。
どの人物の目線で物語を読んでも、この中には被害者しかいない。
まさに「連鎖」
逃れてもまた無意識に教育されてしまっている。
悲しい現実に、ラストまで絶望させられる。
読み終わった後もすこし考えてしまう作品でした。
豪雨が過ぎた北海道は少し肌寒く、
窓を閉める時間を惜しんで読んでいた私はくしゃみが止まりません。風邪かな。
全国の皆さん、気候にも体調にもお気をつけ下さいね。