38's blog

読んだ本や観た映画の自分なりの感想と日記を。

宮部みゆき「火車」を読んで

 

宮部みゆき火車」読了しました。

「レベル7」に次ぎ宮部作品二冊目です。

ネタバレを含みますので未読の方はご注意ください!

 

 

 

主人公である本間は休職中の刑事であり、

遠い親戚の男性から失踪した婚約者を捜してほしいと依頼を受ける。

 

彼の婚約者・関根彰子はクレジットカードが作れなかったことから自己破産していた事実がバレてしまい、翌日失踪した。

彰子の勤めていた会社から履歴書を借り職歴を調べたところ全てデタラメに記載されており、自己破産の書類を作成した弁護士の元を訪ね履歴書の写真を見せると関根彰子とは全くの別人だということが発覚する。

 

彼女は何故「関根彰子」を騙って生活していたのか?

どんな方法で別人に成り代わり、何者であるのか?

 

本間と共に彼女を追ってゆく感覚を味わえる。

近付いていくにつれてドキドキは加速し、彼女を知るにつれて胸が苦しくなる。

犯人という表現を使いたくない女性である。

 

 

関根彰子の身分を乗っ取っていた女性、

新橋喬子はクレジットカードやローンの類を嫌っている女性だったそうだ。

彼女の過去は、元夫・倉田のもとへ辿り着いたとき明らかになる。

 

彼女の家族は住宅ローンが払えなくなり、取り立て屋から娘の身を守るために故郷・郡山を夜逃げしている。それは喬子が17歳の時であり、高校は中退している。

夜逃げから一年、父は東京で労務者として潜り込み働き、母と喬子は名古屋で暮らしていたが、父の怪我をキッカケに上京、親戚を訪問した際に足がつき、取り立て屋の監視下におかれてしまう。夜逃げから3年半、母親は流行り風邪から肺炎を起こし、喬子が二十歳の時亡くなる。

 

喬子は名古屋を離れ、伊勢の旅館で住み込みの仲居として働き始める。

そこで元夫・倉田と出会い結婚するも、入籍し新戸籍が編成されたことも目敏く見つかり、倉田と離婚することになってしまう。

 

その後大阪の通販会社「ローズライン」に就職。

 

二人が繋がったのは、喬子が「彰子」に身分を乗り換えても大事に持っていたチョコレート色の一軒家が写った一枚の写真。

写真を手掛かりに、使われていない球場で行われていた住宅展示イベントの際撮られたものだと特定。

写真の隅に写っていた女子社員の制服から、そのイベントで社員研修が行われていたことを知り、社名欄にローズラインを発見。自己破産の際荷物もそのままに飛び出した彰子の部屋からもローズラインの段ボール箱が見つかっており、、、

 

喬子は処分前の顧客アナログデータの中から条件に合う女性を探していた。

それに彰子が当てはまってしまったのだ。

 

他人の戸籍を乗っ取ってまで手にしたかった新しい生活。

彰子の自己破産の事実を知った時、喬子はどう思っただろうか。

苦労して手に入れた女性は自分と同類だったのだ。

 

喬子がまた同じことを繰り返すのではないかと考えた本間は、彰子の他に第一候補がいたことを知りその女性とコンタクトを取る。

喬子を呼び出したカフェで待ち伏せし、声をかける手前で物語は終わる。

 

 

その先どうなったか、彰子の遺体の行方など気になる点は残るが、綺麗な終わらせ方で後を引く作品だと感じた。

細かい部分は割愛して書いているけれど、設定がしっかりしてあってとても読み応えのあった作品。

 

 

そして本作のテーマである「カード社会」についてとても勉強になった。

私もクレジットカードを一枚も持っていない。

なんとなく、怖いから。

 

弁護士が本間に、消費者信用の世界について語る場面がある。

多重債務者達を「人間的に欠陥がある」とひとまとめにしてしまうことは、

自動車事故に遭ったドライバーを前後の事情を一切斟酌せず「腕が悪いから事故を起こす、免許なんか取らなければよかったのだ」と切り捨てることと同じだと。

 

カードを持つ前に本作に出会えて良かったなと思う。

自分の偏見的な考えも少し変わったような気がする。

 

締め方が分からなくなってきたのでこの辺で、、、

もっと自分の言葉で分かりやすくまとめられるようになりたいな。

読みづらい文章ですがここまで読んでくださりありがとうございます。(笑)

 

誤字脱字はまた今度添削します、、、(笑)